マッサージ師として国内で活躍したいなら、国内で普及しているマッサージの技術やノウハウを学んだり、資格を取得するのが先決でしょう。しかし、世界を舞台にマッサージ師としてのキャリアを重ねたい、あるいは外国の方をマッサージすることを視野に入れるなら、世界各国で普及しているマッサージやリラクゼーションの種類を頭に入れておくことも大切です。
実はマッサージは世界中に多くの種類があります。それぞれの特徴や成り立ち、施術の仕方、資格の有無など様々な違いがあり、一度に全ての種類を頭に入れるのは困難です。しかし、概要と基本的な知識を覚えておくだけでも意味があります。
以下では、国内外で人気があり有名でかつ定着しているマッサージ15種類を厳選して紹介しています。概要と基本的な特徴のみのレクチャーですが、ぜひ読んでみてください。
リンパマッサージは、オイル系マッサージの一種です。発祥はデンマーク。1930年頃、デンマーク人の医学博士、エミール・ヴォッター氏が考案したリンパ排出法(リンパドレナージュ)ルーツといわれます。すでに70年以上の歴史を持つ施術法であり、日本をはじめ世界各国において、医療、健康、美容目的で行われています。リンパマッサージの特徴は、文字通りリンパの流れに着目したマッサージです。人間の体の中には、血管とは別に、老廃物や毒素、細菌、ウイルス、脂肪などを運ぶリンパ管が無数に張り巡らされており、このリンパの流れに沿って、またリンパの合流点であるリンパ節に向かってマッサージを施すことにより、リンパの循環を正常化しながら老廃物や毒素の排出を促し、身体の様々な不調の原因を取り除くことが可能になります。最初にオイル系マッサージの一種と伝えましたが、近年ではオイルを使わないリンパマッサージも普及しています。
アロマセラピーは、複数の種類の精油をブレンドしたアロマオイルを使用して、リラクゼーションを施す自然療法の一種です。リンパマッサージと同様、オイル系マッサージですが、アロマセラピーは日本語で『芳香療法』と訳されることから分かるとおり、アロマ(香り)と療法(セラピー)を組み合わせて行うスタイルが特徴です。現代的なアロマセラピーは、フランスやイギリスなどヨーロッパがルーツとされますが、香り成分を利用した治療自体は、早くも紀元前3000年頃の古代エジプト文明において行われていた形跡を残していることは、注目に値します。
スウェディッシュマッサージは、200年前にスウェーデンの医者によって開発されたオイル系のマッサージ手法です。日本での知名度は低く、技能を学べるスクールも僅少ですが、スウェーデンでは科学的な研究が進められ、リラクゼーションから筋肉療法として昇華されるなど、健康効果も期待できる療法として認知されています。スウェディッシュマッサージの最大の特徴は、手技を用いて全身にマッサージを施し、血流とリンパの流れを促進することです。その結果、体温アップと代謝改善が可能になり、冷え、むくみ、凝りなど、血流やリンパに起因する身体の不調を改善させることができます。
ハワイ伝統のロミロミマッサージは、血流とリンパの流れを良くし、体内機能の強化や疲労回復、むくみ解消などへの効果を期待できる、オイル系のリラクゼーションマッサージです。指先で行う指圧マッサージとは異なり、手のひら、腕全体を使い、さらには、ハワイらしく風や波の動きを思わせるようなリズムカルな動きが特徴です。身体機能の改善以外に、メンタル的な癒し効果が得られるほか、旅行者に関しては、時差ボケを解消するのにも有効といわれます。ルーツは古代ハワイアンですが、日本でもロミロミマッサージを行うサロンがあります。
タイ古式マッサージは、文字通り、タイで生まれたドライ系のリラクゼーションマッサージです。日本ではリラクゼーションとして施術が受けられますが、タイでは医療行為としても利用されているほど、効能が科学的に認められている代替療法になります。施術の特徴は、手や腕、足など体の様々な部分を使いながら全身のマッサージを行うことです。「セン」と呼ばれる“気”の流れに沿って、頭の天辺から足先まで全身を網羅的に刺激していき、血流改善や免疫力アップ、リラックス効果、関節可動域の向上などを促します。柔軟性を高める目的で、ストレッチしながら施術するのもタイ古式マッサージの特徴です。そのため「二人でするヨガ」と呼ばれるのはこのためです。
推拿は、中国医学に基づくドライマッサージの一種です。発祥はもちろん中国。鍼灸や漢方薬と同様に、東洋医学がルーツになっています。日本ではリラクゼーションの認識ですが、中国では国家資格を与えられた医師が行うれっきとした治療行為であり、前述の鍼灸・漢方薬と並んで3大中国伝統両方に数えられます。施術の特徴は、手技の種類の多さです。押す、引く、揺らす、さする‥etc、全部で100種を超える手技を駆使しながら、医療器具を使用することなく経穴に刺激を与えて、身体の不調や緊張を取り除きつつ疾病を改善したり予防します。
整体は、東洋医学に基づく手技によるドライマッサージの一種です。日本が発祥ともいわれますが、中国由来の整体があったり、中国の技術が伝来して日本独自のスタイルが確立されたとする説もあるなど、諸説紛々としており、ルーツは判然としません。特徴は、歪みが表れている部位(骨)に直接的にアプローチし、手技により矯正を促していくことです。腰痛や頭痛、疲労回復、肩こりの改善への効果が期待できます。全身整体、指圧、按摩、スポーツ整体、カイロプラクティック、姿勢矯正、美容矯正など、目的やアプローチする部位により多種多様な種類があるのも特徴でしょう。
カイロプラクティックは整体の一種に数えられることもありますが、厳密には、アメリカ発祥の手技によるドライマッサージです。日本では施術に資格は必要ありませんが、アメリカでは医療国家資格として認められています。特徴は手技のみの施術であること、また背骨と神経系に特化していることです。歪みが出ている部分に直接施術を行い矯正を促す整体と違い、カイロプラクティックでは歪みの原因へアプローチを行い、自然治癒力により修復を促します。施術を受けることにより、背骨と関節の柔軟性の回復、神経を刺激することによる脳の活性化、筋肉の硬直化の解消、血液循環の改善などの効果を期待できます。
按摩は、古代中国を発祥とするドライマッサージです。東洋医学の考えに基づいて、“おさえる”(按)、“なでる”(摩)、“揉む”、“たたく”などの手技を用いながら、「気血」や「経路」における変調の調整を行います。施術は身体の中心から手足に向かって遠心性に行うのが特徴で、各部の筋肉を手技で揉みほぐしながら血行循環の改善を促し、肩こりや筋肉の疲労を取り除きます。一般的なマッサージや整体と異なるのは、日本において按摩は、国家資格の『あん摩マッサージ指圧師』でなければ施術を行えないことです。
リフレクソロジーは、体内で神経が集中する「反射区」に刺激を与えてリラックス効果や血流改善を促す施術です。起源は古代エジプトとされますが、現代では足裏をマッサージする『英国式リフレクソロジー』が有名なほか、『東洋式リフレクソロジー』『台湾式リフレクソロジー』『中国式足つぼ』『タイ式フットマッサージ』『ドイツ式リフレクソロジー』など、世界各国で独自のスタイルが確立されています。施術の特徴は、アプローチする部位に限らず、とにかく神経が集まる「反射区」に刺激を与えることです。神経の要衝を刺激することで、血行を促進し身体の状態とバランスを整えていきます。
ヘッドマッサージは、頭部(頭皮)にあるツボを刺激して血行改善を促すためのマッサージです。発祥はインド。伝統医学の『アーユルヴェーダ』が源流とされますが、現在は世界各国で行われているマッサージであり、日本でも、理容室や美容室などのヘアサロンにおいて、ヘッドスパのメニューを取り入れている店舗は少なくありません。ヘッドマッサージの特徴は、体の重要器官が集まる頭部のツボを効果的に刺激することにより、様々な効果が得られることです。リラックス効果をはじめ、首コリや肩こりの解消、眼精疲労の改善、自律神経の安定、抜け毛予防、デトックス効果なども期待できます。
フェイシャルは、顔を中心に頭部から首筋にかけてのケアを行うマッサージです。プロのエステティシャンによるハンドトリートメントは有名ですが、レーザーやラジオ波による専用機器を用いた施術もあります。発祥は古代エジプトといわれますが、現在は世界各国のエステサロンを中心にメジャーなメニューの一つとして普及が進んでいます。フェイシャルの特徴は、部分ケアでありながら、多様な効果が期待できることです。美肌やエイジングケア、小顔効果、フェイスラインのたるみ解消、リラックス効果など、美容効果をメインに様々なメリットがあります。
腸セラピーは、手技療法によって大腸・小腸を中心とする腹部をケアするリラクゼーションです。発祥や源流は詳らかではありませんが、日本、タイ、インド、欧米などのスパで注目されている施術になります。特徴は、腹部に対して直接的にアプローチして腸を揉みほぐすことにより、ダイレクトな形で大腸・小腸をケアできることです。とりわけハンドマッサージにより腸の働きを促進することができれば、便秘解消、デトックス効果、ダイエット効果、アンチエイジング、ニキビ、アトピー改善など、様々な効果が得られます。
鍼灸は文字通り、「鍼」(はり)と「灸」(きゅう)を使用して行う民間医療における施術です。起源は石器時代の中国とする説が有力で、日本へは奈良時代に伝わったとされます。医療は西洋医学が主流ですが、その中において鍼灸は伝統的な東洋医学として確固たる支持を得ています。鍼灸の特徴は、鍼と灸を用いて体の『ツボ』に刺激を与え、部分的にではなく身体全体のバランス調整を図ることです。腰痛、肩こり、膝の痛み、神経痛、神経麻痺、気管支炎、喘息、風邪予防、更年期障害、乳腺炎、生理痛‥etc、効果も多岐にわたります。
ホットストーンマッサージは、温めた石(玄武岩)を身体の上におき、身体を温めつつリラクゼーションを施すマッサージです。発祥はヨーロッパといわれますが、現代に広く普及しているストーンセラピーが体系化されたのはアメリカになります。ホットストーンマッサージの特徴は、なんといってもセラピーに玄武岩を使用することです。遠赤外線を発する玄武岩は冷めにくいという特性を持つと同時に、身体を温めて血行を良くし、冷え性改善、肩こり、腰痛、頭痛、不眠、生理不順など、様々な健康効果をもたらします。
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※調査したマッサージ資格取得スクールのうち、卒業後も定期的に技術を磨ける練習場がある・無料で再受講できるなどの「学び続けられる環境が整っている」スクールをピックアップ。その中でも取得期間が短い3資格を、ファーストステップとして取りやすいおすすめ資格として紹介しています。紹介している資格はすべて民間資格になります。
※各種類の資格を取得できる資格のうち最も短期間で取得可能なもの、費用は資格取得に必要な総額を表示しています。調査は2020年3月時点のものです。